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就職難民 黙って俺についてこい!

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 まさか、本当に2分で支度が出来るなんて……
 御影山社長の襲撃(?)から、私は疾風の如き早さで着替えるとメイクを済ませた。
 今は社長が乗り付けた高級車の後部シートに体を埋めて、隣で携帯に向かって仕事の指示を出している御影山社長の横顔をチラリと伺いながら、自分の置かれている状況を改めて認識している所だ。
 
 私、本当に美成堂に行くんだ――――

 そんな感慨とともに改めて昨日の失態を思い出した私は、今更に恥ずかしくなって慌てて両手で顔を覆った。

 てゆうかどうしよう! 私ったらお酒の勢いでどんな仕事でも結果を出せるだなんて大見栄切って、ダメだったらずっと会社をキレイにする清掃員さんなのに!? いや、別にお掃除嫌いじゃないし、どっちかっていったらむしろ向いてるかなー、なんて思わないこともないけど――じゃなくって! そうじゃなくて、私がやりたい仕事は――――

「随分と真剣なようだが、何か良いアイディアでも浮かんだのか?」

 隣から発せられた低いながらも通りの良い声に、はっとして顔を上げると厭味たらしく口の端を上げながら、御影山社長が私を見つめていた。「お前みたいな小娘にまともな仕事が出来るか」とでも言いたそうなその目つきが、私の闘争本能を揺さぶった。
 絶対私をバカにしてるんだわ。悔しい……そうよ、どんなことでも頑張って結果を出すって言ったのよ。こんな……やる前から負けててどうするの!

「絶対に結果を出してみせるんだから……」

 小さな声で、冷たく眼鏡を光らせる社長に向けてボソリと呟いた。
 負けてたまるか、絶対に良くやった。って言わせてやるんだから!!