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就職難民 黙って俺についてこい!

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 翌朝、7時ちょうどだったと思う。近所迷惑も顧みないチャイムの嵐に、軽く二日酔い気味の脳みそにクリティカルダメージを受けながら、フラフラ玄関を開けた私の目の前に、やたらと男前な人物が口を少しだけへの字に曲げて立っていた。その見覚えのある男性を記憶の中から探り出し、それが誰かを判断すると思わず間抜けな声が口からこぼれた。

「へ? あ、れ……? 御影山、社長――?」
「さっさと支度をしろ、会社に行くぞ」
「ぅえ?」

 言うが早いか、御影山社長はまだ状況が飲み込めないでいる私の横をすり抜け、勝手に私の部屋へと上がって行った。
 そしてあろうことか、人の家の、しかもうら若き乙女である私のタンスやクローゼットを勝手に物色しはじめ、私が持っている中でも一番値段の高いシャツやスカートをベッドの上に投げると、呆れた様子で口を開いた。

「さっさと着替えろ」
「え? あ、」
「まだ寝ぼけてるのか? それともその貧相な体で俺を誘っているのか? 自分で着替えないなら脱がせてやるぞ」

 本気か冗談か、社長の手が私のパジャマのボタンに伸びて来た所で一気に覚醒してベッドの上の服に飛びついた。
 ぎゃー! なにしてくれてんのっ!?

「い、い、今すぐ着替えますっ! メイクも5分で終わらせます! ですから社長は外でお待ち下さいっ!!」
「2分だ」

 有無を言わさない準備時間に混乱する脳みそすら放り投げる勢いで、私はもう半分泣きながらやけくそに返事をした。

「わかりましたっ!!!」