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まほうのかがみ

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ある日のことです。

王さまはとても怒っておいででした。

王さまが大事に大事にしていた亡くなられた王妃さまのブローチを誰かが壊してしまったのです。

それはいつも亡くなられた王妃さまの部屋におかれていました。

王さまは時折、その部屋をおとずれ、むかし王さまが王妃さまに贈ったそれをみて思い出にひたられていました。

しかし、そのブローチが誰かに壊されていたのです。

王さまはとてもお怒りになりました。

王さまはすぐに城中の者にこの部屋に入った者を調べさせました。

家来にその者をつれてくるように命じたのです。

そして"ざいにん"かもしれない者たちを家来がつれてきます。


それは、うつくしい王女さまと、みにくい娘でした。


王さまは、ふたりに問います。


「わたしと妃の思い出の品を壊したのはお前か」と。


うつくしい王女さまはこたえます。


「いいえ、いいえ、お父さま。わたくしはお母さまのブローチを壊してなどいないわ」


みにくい娘はこたえます。


「王さま。わたしは、お妃さまのブローチを壊してはおりません」


どちらも、じぶんは壊していないとこたえます。

王さまは困ってしまいました。

ふたりの内のどちらかは嘘をついています。

けれど、それがどちらかがわかりません。

そして王さまは思いつきました。

ふたりを魔法の鏡に映そうと。

そうすれば嘘をつく醜い"こころ"をもつ"ざいにん"が誰かがわかるのです。

王さまは言いました。


「明日、ふたりを魔法の鏡の前に連れて行く」



作品名:まほうのかがみ 作家名:727