「セックスアンドザシックスティーズ」第十話
部屋に戻って自分の荷物を持って典子と美紗子に「頑張って!」と応援されながら702号室に恵子は歩いていった。
「恵子さんってやるね・・・なんかまた羨ましいと思える。私も誰か声掛けてくれないかなあ」
「典子さん!またそれですか・・・飢えたオオカミみたいで見苦しいですよ。タイミングと言うのがあると思いますから焦らずに待ちましょうよ。
私だって人のこと羨ましがっている時間はないんですから同じですよ」
「美紗子さんなんか外歩くだけで声掛けられそうで・・・私とは違うんだから嫌になっちゃうわ」
「もう!そうだったらとっくに恋人が出来ていますよ。そうじゃないからこうして一人なんじゃないですか」
「そうか・・・そうだね。まあ、恵子の幸せを応援してあげる方が先だね」
「そうですよ。相手の人って優しそうな様子に見えましたから、うまく行くといいですね」
「ほんとにそうね」
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」第十話 作家名:てっしゅう