「セックスアンドザシックスティーズ」第十話
「もう遅い時間になりましたね。恵子さんはお部屋に戻らなくてもいいのですか?」
「・・・戻って欲しいですか?」
「そういう意味で言ったのではありません。気分を悪くしないで下さい」
「ゴメンなさい。ご親切に言ってくださったのに・・・」その後は言葉が続かなかった。恵子は泣いてしまった。
「さっき会ったばかりなのに怒らないで聞いてくださいね。よかったら私の部屋に来ませんか?もっとお話しがしたいと思っていますから・・・」
「・・・はい・・・同じ階でしたね。一度部屋に戻ってから伺います。何号室でしたか?」
「702です」
「じゃあ、10分後ぐらいに・・・」
「待っています」
チェックを済ませて二人はエレベーターに乗った。そっと犬飼の手が恵子の手を握った。
恵子も握り返した。それがOKの合図のように取れた。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」第十話 作家名:てっしゅう