「哀の川」 第三十七話(最終回)
麻子と杏子は昔を思い出していた。純一がまだ小学校の頃のロンドン旅行だ。ふっと笑ったのを由佳は尋ねた。
「おば様、何が可笑しいの?」
「純一がね小学生のときにここへ来たの。その時に杏子さんと一緒の部屋だったんだけど・・・ハハハ、笑えてきちゃった」麻子はその時のことを話した。
「そうなんですか・・・杏子伯母様とはそういう縁があったんですね」
「そうよ、あの子は子供の頃から凄く慕っていたから・・・由佳さんも叱らないでやってね。今はあなたのことだけみたいだし」
「はい、過ぎたことは・・・環先生のことも、忘れますから」
「偉いわ!男の人は少しぐらい浮気心がないと魅力的にならないから、うまくリードしてあげてね。時に許し、時に叱り、甘えさせて、自分も甘える、これがコツよ」
「素敵ですね・・・そう思えるようにします」
あっという間の一週間が過ぎて、4人はドゴール空港から帰路に着いた。
作品名:「哀の川」 第三十七話(最終回) 作家名:てっしゅう