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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第三十七話(最終回)

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神戸で杏子は佐伯と母親と三人、仲良く生活をしている。震災の被害も終息し、街は活気を取り戻しつつあった。佐伯は長年やっていたパブを閉め、杏子と二人で喫茶店を開業した。夜の仕事から昼間の仕事に変更したかったからだ。

直樹は順調に事業を伸ばし、インターネット時代に入って通販売上が主力になっていた。関学を卒業した純一は㈱キオナに入社し、仕入担当として美津夫の会社とロンドンの取引先の担当をしていた。若いが、その能力は社員の誰もが認める実力だった。

由佳は女子大を卒業後、純一と結婚した。直樹たちと一緒に住んで仲良く新婚生活を送っている。やがて子供が出来、麻子や直樹には嬉しい初孫になった。毎日ジジ、ババ、と甘える孫のことは目に入れても痛くないほど可愛がっていた。長男に続いて長女も誕生した。裕子の娘未来は小学校になっていたから、由佳の二人の子供を時々あやしてくれていた。幸せな笑い声が絶えない斉藤家であったが、杏子には辛い母親の死が訪れた。

一つの命が終わるとき、一つの命が生まれる。人の世はそうして繰り返される輪廻になっている。哀の川がこの世を流れる哀しみをあの世の海へと流し続ける限り・・・

終わり。