ひと☆こと~ラヴストーリィ
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昨夜からの雨は今朝になってもまだ降り続けている。
雨の週末。
彼女は雨の日が嫌いではない。
むしろお気に入りの傘をさして出かけることが好きだった。
だが、今日は空を見上げて溜め息をつく。
星空鑑賞会のサークルに入って初めてのお出かけだった。
サークルで知り合った女友達からメールがくるが、肝心のサークルのリーダーからの連絡はない。
『一斉送信があるんだよね。予定が決まらないんじゃ遊びに出られないね』
女友達のメールは、不満に変わっていった。
『私、今日はパス。またね』
とうとう女友達は、それっきりメールを送っては来なかった。
『遅くなりました。予定通りです。来れる人だけ集合!』
彼女は、雨上がりの道を集合場所へと向かった。
時刻は、過ぎている。
彼女ひとりきりで集合場所に待っていた。
「あ、お待たせー。あれひとりか。まあいいや。行こうか」
リーダーの男性の後について彼女は歩き始めた。
「あの?今夜は何処で星を見るのですか?」
「うーん、そうだね…全天候OKの屋根付きドーム型の星空かな」
「……」
リーダーは彼女にだけ送信したメールをそっと消した。
作品名:ひと☆こと~ラヴストーリィ 作家名:甜茶