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ひと☆こと~ラヴストーリィ

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コンビニの前に置き忘れた傘を捜しに行った。
何の変わりの無い透明のビニール傘だ。
誰が持って行こうとわかりゃしない。
だけど俺にとっては、ちょっと大切な傘だった。

二日前の雨の日。
急な雨で出かけるときに駅前のコンビニで買ったものだ。
目的の駅に着いたとき、女の子が駅の入り口で傘がなく困っている様子だった。
見るつもりはなかったが、何となく目が合っただけでなく、声まで掛けてしまった。
行く方向が同じだったこととそれほど遠くでなかったことで
俺は、ガラにもなく、傘にふたりで入って歩いた。
いわゆる『相合傘』だが俺にとっちゃ『気まぐれ傘』だった。

「ありがとうございました」
「あ、いや、どうも」

その微笑みが何となく心に残っちまったようだ。
だが、帰り道は、雨はすっかり上がっていたし、いつもなら捨てて帰ったかもしれない。

コンビニの前にやってきた俺は驚いた。
俺のらしき透明のビニール傘が一本だけある。
メモがぶら下がっている。

【あ、いや、どうも…と親切にしてくれた方の忘れ物の傘です。
 勝手に持って行かないでください】

ふと覗いたコンビニのレジカウンタにあの微笑みが咲いていた。