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ひと☆こと~ラヴストーリィ

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*+++

僕は手紙を書いた。
けしてうまいとはお世辞にも言えない字だろう。
だけど、僕は手紙を書いた。
相手は、隣町の病院に入院中の女の子だ。

先月、僕が骨折で入院した時に知り合った九歳年下の高校生になったばかりの子だ。

天気の良い日に院内の散歩道で見つけたクローバーの葉。
形の整った葉が一本の茎に四枚付いている。
「こんなところにもあるんだね。押し花にしようか」
女の子は、微笑んでいた笑顔を隠し、頷いた。
柄にもなく、僕は嬉しくて友人の持ってきた週刊誌に挟み込んだ。

まもなく、女の子は、隣町の大学病院に転院した。

『押し花ができたので送ります。元気になってくださいね。僕は今週退院です』

僕が退院の日、返事が届いた。
とても達筆な大人の字で書かれた封筒だった。

『大きくなったら、お嫁さんにしてね』

中の便箋に書かれた文字は、読むのが大変なほどの力のない字だった。
そして、文末に封筒と同じ字で書かれてあった。

『四つ葉のクローバーは悲しい。あの子にとって幸運の四つ葉も迫る運命に思えたのでしょう。もう一度貴方に会いたいと言って逝きました』と。

僕は、その思いを胸に抱いたまま、退院した。