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ひと☆こと~ラヴストーリィ

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「キミは僕のことが好きなの?」

彼女は、黙って頷いた。

「じゃあ、ここで待ってて」

そう言って彼は路地に消えていった。

佇む彼女の鼓動が時計の音を刻むように高鳴る。
通り過ぎる視線を感じながら、彼の言う通りにただ立ち竦む。
通り雨。
肩から薄色のブラウスを染めていっても彼女は立ったまま。
携帯電話を握りしめる。
かけてはいけない電話。
ただ彼の連絡受けるだけの機械。

彼女の可愛くセットした髪も明るく入れたチークも うな垂れ流れる雨に崩れる。

透明の傘を差した彼が現れたとき、傍らには彼女でない彼女。

「あれ?まだ居たの?風邪引くよ」

ふたりが目の前を通り過ぎる。
彼女は視線を上げてもその一歩が踏み出せず、背中を眺めるだけだった。