小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ひと☆こと~ラヴストーリィ

INDEX|11ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

*

今日廊下であの人とすれ違った。
通り過ぎてから香りが私の鼻先を包んだ。
柑橘系のようだが甘いその香りを私の記憶に刷り込んだ。
あの人が見えなくなってそのまま後ろ歩きで香りを辿る。

(この香りは、私だけのもの…全部嗅ぎ取っておこう!)

家に帰って暫くすると、父親が帰って来た。
私も年頃、親父の臭いは嘘でも毛嫌いしたい。
「おかえりー」
ぶっきら棒に声を掛け、すれ違ったおやじからあの人の香り?
「ねえ、お母さん……」
聞いて崩れそうな気持ちをやっと建て直し部屋へと戻った。

母が言う。

「ああ、柔軟剤変えたのよ」