ひと☆こと~ラヴストーリィ
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新緑の並木道を肩を並べ歩くふたり。
「ねえ、もし私が居なくなったらどうする?」
「居なくなるって、どういうこと?」
彼女は、彼の手に触れた。彼はその手を握った。
「何処かに消えちゃうとか」
「いつの間に 魔法使いになったの?」
「やだぁ、そんなことできないよ。だから一緒に居られなくなったら」
足を止め、彼を見上げる彼女。
「わかった……早く行っておいで。ここで待ってるから」
「ほんと?」
「ほんと。一歩も動かずここにいる。もう公園のトイレまで行くだけでしょ」
彼女は、肩を竦め、にっこり笑って走って行った。
ひとりになった彼は、彼女の存在に笑みを零した。
作品名:ひと☆こと~ラヴストーリィ 作家名:甜茶