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ひと☆こと~ラヴストーリィ

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「いらっしゃいませ」

僕の差し出すペットボトルのお茶とスナック菓子、そして夜食のカップ麺の価格を
リーダで読み取る。

「ありがとうございます。お会計は514円です」

僕は財布の小銭入れから515円取り出す。
レジスターに向かう彼女が、一円とレシートを返してくれた。
僕の掌に僅かにかかる重み。レシートの紙が遮る温もり。

僕は、店を出て溜め息をついた。

彼女の胸に下げられた名札を何度も確かめようかと思った。
だが、女性の胸元を見つめる勇気は、僕はまだ持っていない。

ある日、僕は契約した電子マネーを使うことにした。
いつもの彼女の前、緊張しながらも差し出した。

「はい。こちらにかざしてください。(奇妙な完了の音)ありがとうございます」

すると、彼女は、その打ち出された紙に担当者の名を書き、僕に渡した。

「はい。お控えです」

僕は、店を出てほくそ笑んだ。

彼女の名前と自筆のサインを一度に手に入れたのだから。