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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

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「…阿修羅やんきに」
身構えたまま青年はそう名乗った
「阿修羅? あの阿修羅と同じ名前とはまた面白いこと」
吉祥が驚いたでも半分は面白いのかそんな表情を阿修羅に向けた
「…どの阿修羅か知らねぇけどもたぶんお前さんがいってる阿修羅はオライやんきに」
阿修羅が身構えるのをやめ腰に手をつき吉祥を見る
半分は面白いだった吉祥の表情が全て驚きに変わる
ソレを見て阿修羅がニッと笑った
「…わらわの言う阿修羅は残虐非道…まさに修羅と…でも貴様はまったくその様な感じはせぬのですが」
シャラっと鈴が鳴る
「残虐非道…ハッハまぁ…そうだろうなぁ…」
「本当にその阿修羅なのですか?」
「…そうだといったらどううするんきに?殺すのけ?捕らえるのけ?」
口元は笑いでも眼はまっすぐ獣を捕らえるかのように阿修羅が吉祥を見る
「…不思議な眼…貴様の目」
「…は?」
大抵はその眼を見てすくみ上がる
この吉祥とて宮の人間といえど女、ちょっと位はおびえるか何かをすると思っていた阿修羅は吉祥の反応に気が抜けた声を出した
「大きな眼、不思議な眼…どこを見ている…?」
ふわっと香ったのはどことなく懐かしい香り
前髪がかきあげられた
シャラっという鈴の音がかなり近くで聞こえ頬に手が添えられる
「わらわはここ…わらわを見て…」
「な…」
緑色の瞳から目がそらせない
赤い唇が何かを言っている
「…そう…」
かきあげられていた前髪がぱさっと降りてきて阿修羅がはっと我に返った
「義賊ということですか」
頬に触れていた手も離れていった
「何…を」
どもりながら聞く阿修羅に吉祥が微笑みを向けた
「貴様はその背中に沢山背負っている…沢山の批難と罵声と憎しみと…それと同じ量の笑顔と」
吉祥が一歩後ろに下がる
「…お前…オライの何を知ったん?」
「…次の獲物はやめた方がよい…」
ふぃっと吉祥が顔を背けた
「貴様は不思議です…」
「…オライが?」
開けられていた扉に吉祥が手をかけた
「…また会いましょう?」
橙色の髪が扉の中に消え戸が閉められた