【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり
「…なんなんきに…これ」
白く大きな扉を前にした青年が唖然としてソレを見上げた
「こんなところに…」
恐る恐る手を伸ばす
取っ手に手が触れソレを下へと下げようとしたとき
「見えるだけではなく触れるのですか貴様は」
丁寧なのか乱暴なのかハーフ&ハーフの言葉が背後から聞こえた
「誰…!!」
青年が長い髪を靡かせて振り返る
「驚きました」
鮮やかな橙色の髪
シャラっという可愛らしい鈴の音
髪に括られていたのは
「…宝珠…お前宮のモンけ!!」
バッとすばやく後ろに下がった青年が身構えた
「機敏な動き…でもわらわはなにもしないですよ」
くすっと笑うとまたシャラっと鈴がなった
「…貴様…名前は? …わらわは【吉祥】」
「き…っしょうってやっぱ宮のモンけ!!」
ザッと足を肩幅に開いた青年が吉祥と名乗った人物をにらんだ
「はやく名前いってください…わらわは【吉祥】貴様は何ぞ?」
シャラっとまた鈴の音
作品名:【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり 作家名:島原あゆむ