【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり
「よっガラっちょ!!」
「…殴るよ?」
縁側に座っていた矜羯羅を見つけ阿修羅が声をかける
「お帰りなさいませ京様お暑かったでしょう」
ゴトゴトと鉢を引きずってヒマ子が物干し付近からやってきた
「あーあ…; タカちゃん遊んでるんだか遊ばれてんだか;」
その物干し付近で子供用ビニールプールにちみっこ竜二人と一緒に入っていた制多迦が髪から水滴を滴らせながらヘラリと手を振った
「おー…竜もだいぶ大きくなってんのー…無理してないんか? がらっちょもタカちゃんも」
バシャバシャと制多迦に向って水をかけている竜を見て阿修羅が言う
制多迦がヘラリ笑ってうなずくと顔面にちみっこ竜のバシャった水がかかった
「あーあそこの空間だけなんか和みだねぇ…」
南がホワ~ンとした顔で眺めている
「麦茶用意するっちゃね」
小走りで緊那羅が玄関の戸をあけた
「食べ物? それ」
「…目ざといなキサマ; あたりーキビ団子」
悠助の抱えていた中島のお土産をみた矜羯羅がソレを指差して言う
「…んがらはよく食べるから…でもよく噛まないとまたべ…」
スコーン
「…たい;」
「…余計なこと言わなくていいからさっさとあがりなよ」
何か言いかけた制多迦の頭に矜羯羅がはじいた玉が見事に命中した
「…今【ベ】って…」
「よく噛まないからなる【べ】…」
「なんだ?」
「…べ…べ…べべべのべー…」
ぼそぼそと頭を寄せ合って三馬鹿と京助が話し合っている
「よっしゃじゃぁオライがヒントをやるんきにー!! よく噛まないとおこるのは消化不良つぅて食いモンがうまく消化できんきになー」
ハイハーイと手を上げた阿修羅が説明する
ヒュン
チッ
その阿修羅のスレスレを未確認亜高速飛行物体が通り抜けた
「…ご…ごめんなさい;」
にっこりと笑みを浮かべる矜羯羅に向って阿修羅と三馬鹿そして京助が謝った
「運ぶの手伝ってほしいっちゃー;」
台所の方から聞こえた緊那羅の声
「ぷしゅッ!!」
プールに入っていたちみっこ竜がくしゃみした
作品名:【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり 作家名:島原あゆむ