【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり
「ワン」
「ツー」
「スリー」
「…帰れ」
石段上で某ランキング番組のカウントのごとくなテンポでポーズを決めていたお馴染みの三人に京助が吐きかける
「オミヤがあるんですけどねー?」
「いらっしゃいませ」
真ん中でポーズを決めていた中島が前に出した箱を見て京助が態度を変える
「京助…;」
ソレを見た緊那羅が肩を落として呆れる
「ほぉー…キビ団子…つーことは岡山け」
中島の手荷物を上から見て言ったのは
「あ…」
「あっくんにいちゃんー!」
「おぉおおお; いきなり現れんなやッ!!;」
右側でポーズを決めていた坂田が怒鳴りながら倒れた
「あのねあのね!さっきねちょうどねあっくんにいちゃんの話してたんだよー」
タタタッと石段を駆け上りながら悠助が言う
「オライの? なんやんきに?」
「あのねー…」
「どうでもいいけどさー…;直射日光浴びて団子が生ぬるくなるぜ?;」
「ソレと同時に俺らの体力も奪われるぜ…;」
話し始めようとした悠助とその悠助を抱き上げた阿修羅に中島と南が言う
そして緊那羅はまた慧喜を見る
「…慧喜…?」
やはりいつもの【阿修羅ずるいッ!!】という激しい抗議が起こらないことに緊那羅がまた首をかしげた
「慧喜…? 大丈夫だっちゃ? 疲れた?」
「えっ!? あ…なんでもないよ! まって悠助ー!」
緊那羅の声にハッとした慧喜が石段を駆け上る
「…青か…」
「…何見てるんだっちゃ;」
ヒラリと翻されたスカートの中を見た京助がぼそっと呟いた
作品名:【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり 作家名:島原あゆむ