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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

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部屋の真ん中
座り込む慧喜がゆっくり顔を上げる
「悠助…」
小さく唇が動いてはっせられた名前
「いやだ…」
震える声で慧喜が言った


「…しゅら…」
矜羯羅を背中に隠して制多迦が阿修羅を見ると阿修羅が頷いた
「気配が慧喜のモンじゃないの…これは…」
「指徳…だね」
矜羯羅がそう言った時
「大正解…久しぶりだねぇ矜羯羅様、制多迦様」
襖の向こうから聞こえた慧喜の声
いつもと違う真面目でまともな顔つきの制多迦が構えると連鎖反応のごとく残りの面々も各々構えた
「…なぁ」
シェーのポーズをした中島がちらりと隣でセーラームーンのキメポーズをしている坂田に呼び掛けた
「これって俺ら参戦しても意味なくね? むしろしないほうよくね?」
坂田のやや斜め後ろでフラメンコの同じくキメポーズをした南がつぶやくと中島坂田が頷いた
「ふぬけた顔をしててもさすがにってとこだねぇ制多迦…」
「…れほどでも」
「君は黙っていなよ…指徳」
制多迦の髪の毛をひっぱった矜羯羅が一歩前に出るとゆっくりと襖が開いていく
「慧喜…」
慧光の眉毛が下がった
襖が開く
立っている慧喜は目を閉じたまま
「ぅ…えっ!」
その慧喜を見た瞬間慧光が口を押さえガクンと膝をついた
「コロ助!?; ちょ…どうしたんだ!? オイっ;」
坂田が慧光の背中をさすりながら顔を覗き込む
中島と南も慧光を取り囲むようにして集まった
「え…き…」
苦しそうに喉の奥から絞り出た慧光の声が聞こえたのか慧喜がゆっくり目をあける
「慧喜…っ」
「待て待てコロ助; おい坂田そっち支えて」
よろよろと自力で立ち上がろうとした慧光の左脇の下に手を入れ支えた中島が坂田に言う
「残念だね慧光…今コレは私のモノでね」
慧喜の声で慧喜の中の指徳が笑った
「慧喜は…? 慧喜はどこナリか!」
「キャー; 落ち着いてえこーさーん;」
南が中島と坂田を振り払おうとする慧光の腰に抱きついた
「今度はまた…仲間の体を借りるたぁ…な指徳」
阿修羅が鼻で笑いながら言うと慧喜の姿のまま指徳が笑う
「慧喜が望んだんだ」
「嘘!!」
慧光が叫んだ
「嘘ナリ!! そんなの…っ! 慧喜が…」
「嘘じゃないさ、ちゃあんと慧喜から頼まれたんだよ? …ねぇ?」
「…!! しまった! ボン!!」
弧を描いた慧喜の唇に阿修羅が何かに気付き声を上げた