【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり
「…子供の知らない世界…」
南が呟く
「なんか…お前らってパッパラパァに見えて重いんだな…」
「パッパラパァって何さ…」
坂田の言葉に矜羯羅が突っ込んだ
「それで…」
「ん?」
「それでその…【吉祥】は…どうなったんだ? 見つかったのか?」
中島の質問に阿修羅が首を振った
そしての沈黙
いつの間にか京助の膝に頭をつけて寝息を立てている悠助
目だけでのコンタクトがちらちらと行われること数分
「…!」
それまでホケっていた制多迦がハッとして顔を上げた
「制多迦?」
「…きは?」
いつもは平和そうに下がっている制多迦の眉毛がりりしくなる
「慧喜?」
「毎度思うけどお前よく制多迦の言ってることわかるよな;」
京助が感心して言う
「永いからね…それに…」
フッと笑った矜羯羅の言葉を身体でさえぎるかのように制多迦が立ち上がった
そしていつもの制多迦からは考えられない俊敏な動きで廊下をかけて行く
「タカちゃん?;」
「ちょ…おいおいおいッ;」
各々が立ち上がり制多迦の後を追いかけていくのに対し膝に悠助が寝ている京助は立ち上がることすらできずただ声を上げていた
「京助はここで待っててっちゃ」
最後に部屋を出た緊那羅がそう言い残した
「…待ってろ…って…俺も気になるんですけどー;」
ガランとなった部屋に一人残された京助がため息をついて天井を見上げる
作品名:【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり 作家名:島原あゆむ