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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

INDEX|20ページ/27ページ|

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「いらん本の知識ばっか知って…あいつのことオライは何も知らなんだな…」
「…阿修羅…吉祥はな…【吉祥】としてではなく自分として阿修羅…お前を」
「そうけぇ…でもオライは…」
「吉祥はお前がお前といる時間が大切だった…生まれて初めて貰った感情それがなにより大切だったんだ」
竜が微笑む
「誰かを自分の心で愛するということ…自分自身の心で誰かを想うこと…それができるお前といれる時間を吉祥は…」
「…わんでくれんかの…」
阿修羅がうつむいたまま聞き取れない小さな声を出した
「…俺が最後に【吉祥】を呼んだとき…あいつは振り向かなかった…自分はもう【吉祥】じゃないと…お前に名前を呼んでもらえたことであいつは-----…」
小さな嗚咽
「…あいつは【吉祥】から解放された…あいつは…あいつの願い叶えたのは阿修羅…お前だよ」
「----------------ッ…」
阿修羅の指が地面をえぐった
「だから…生きろ」
竜の言葉に阿修羅が顔を上げる
「何も残ってなくなんかない…お前が生きることで【吉祥】ではない吉祥がお前の中に残っているだろう…【吉祥】ではない吉祥を残せるのはお前しかいないんだ」
トスっと竜が阿修羅の胸に下がっていた鈴に指をつけた

シャラン

竜が指ではじくとその鈴は小さく鳴る
「…目に見えないものだからいないってわけじゃないだろう…目には見えなくとも…な…?」
土のついた指で阿修羅が小さな鈴を掴む
「-------------…」
呟きにも届かない阿修羅自身にしか聞こえないほどの声で何かを言った後阿修羅が小さな鈴を強く握り締めた