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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

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「モテモテだねぇ兄さん」
「いやー…ハッハッハ」
「ってかさこれ…えーっと吉祥…」
南が吉祥と口にすると中島が少し反応した
「吉祥ちゃん? さん? …吉祥さんでいいか…吉祥さんの片思いになるんだよね? 阿修羅はなんとも思ってなかったんでしょ?」
視線が阿修羅に集まった
「…吉祥は…」


「いつかわらわと一緒に戸の向こうに行ってくれますか?」
書物を読む阿修羅の背中に背中を合わせたまま吉祥が小さく言った
「まぁな…いつかな…」
パラっとページを捲る音と阿修羅の声が重なる
十日に一回の割合で吉祥は阿修羅の元に訪れていた
「…なぁ」
「なに…?」
沈黙を終わらせたかったのか阿修羅が吉祥に呼びかける
「お前…ただこうやってて…何か面白いんか…?; オライはコレ読んでるしお前は…」
「わらわは貴様といれるだけでいい」
振り向かず聞いた阿修羅に吉祥が答えた
「言ったでしょう?わらわは貴様を愛したいのだと」
「…変なヤツや? きにな;…でもオライは…」
「言わないで…ただわらわが貴様を愛したいだけなのだから」
ハハっと笑って言おうとした阿修羅を吉祥が止めた
「でもなオライは…」
「人の気持ちを変えることが出来るのは人だけ…選ばれた人だけ…わらわは貴様に選ばれたい…そして変えてほしい…わらわと【吉祥】を」
再び言おうとした言葉もまた吉祥が止めた
「わらわの望みは…貴様の口から貴様の声でわらわの本当の名前を呼んでくれる事…ただそれだけなんです」
小さくでもはっきりと聞き取れる大きさの声で吉祥が言うのを阿修羅は黙って聞いていた
「…手…繋いでもいいですか…」
しばらくの沈黙の後ためらいがちに言った吉祥の手を阿修羅が無言で握った
「…あったかい…」
なんとなく幸せそうな雰囲気で吉祥が言う
「そうけ…」
阿修羅が振り向かずボソっと言った