小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

INDEX|13ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

「見えるでしょう…阿修羅」
吉祥が立ち上がりその扉に触れる
「どう見えているのかわらわにもわからない…貴様だけの扉…この向こうに見せたいものがある」
シャラっと言う音ともに差し出された細く長い指の手
阿修羅は掴めずにただその手を見つめる
「…阿修羅」
名前を呼ばれて吉祥を見上げる
緩やかに弧を描いた唇と細めた目が優しく阿修羅を見下ろしていた
それはまるで愛しい我が子を見つめているかのような暖かいもの
「…さっきからわらわが呼ぶばっかりで…貴様はわらわの名前すら呼んではくれていないんですよ」
少し身をかがめた吉祥が阿修羅を目線を合わせ眉を下げて微笑む
「…オ…オライは…」
なぜか鼓動が早くなって阿修羅は吉祥から目をそらした
「わらわは…貴様を愛したい」
「へっ?;」
吉祥の思いもよらぬ突然の告白にきょとんとしている阿修羅の頬に吉祥が口付ける
「…そして貴様がわらわを愛してくれたとき…わらわの名前…そして全てを変えてみたい…」
目を見開いたままの阿修羅を吉祥が優しくでも真剣に見つめる
「愛しても…いいですか…?」
ゆっくりと阿修羅の肩に頭をつけた吉祥が小さく言った


「なんなんきに…あの吉祥とか言うの…;」
「ハッハッハあの阿修羅がひとりの少女に困っているってなぁ…いやいや」
ニヤニヤと笑うは竜、そのニヤニヤの先には分厚い書物を膝に置いた阿修羅
【あの】出来事から3日ほどが経とうとしていた
「にしても…お前の頭はどれだけ記憶できるんだ…」
急に真顔になった竜が言う
「まぁ…詰め込めるだけ詰め込めるんじゃないんかの」
落ちてきた横髪を再び耳にかけて書物に目を落とす阿修羅
「…ここからは宮がよく見えるな…」
「竜…お前こう毎日オライんトコに来てて平気なんか; 一応おエライさんなんだろうが…吉祥の教育係とか言う…」
「その吉祥が俺に行け行け言ってきてるんだからいいんじゃないのか?」
うーんっと伸びをした竜が言う
「…阿修羅」
「うん?」
「お前吉祥をどう思う」
「ブッ!!;」

ゴトン

阿修羅が噴出すと同時に分厚い書物が床に落ちた
「どっ…どうってなんなんきに; ど…ッ;」
「落ち着け; っとに…あーあーいーけないんだーコレ一応重要物なんだけどねぇ…; あーあー…まぁた俺がシバかれるんかぁ…はぁ;」
少し傷ついたその書物を拾い上げて竜が溜息を吐く
「…どうって…変わってる…なとは思う…オライの想像してた宮のヤツとは全然違うしの…それに…」
「それに?」
「…いい匂いがした」
阿修羅が俯いてボソっと言った