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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回】ふわふわり

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「次に貴様達が狙っていたあの屋敷…上も馬鹿じゃない…わかる?」
「…オライたちはまんまと引っかかったってぇ…わけなんか…」
「そうなる」
きっぱりと言い切った竜を阿修羅がギンっと睨む
「…そうやんきにな…オライのせいやんきに…」
しばらく竜を睨んだ後阿修羅がふっと笑って俯いた
「…阿修羅…」
まるで幼子を慰めるかのように吉祥が阿修羅の頭を撫でそしてその頭を胸に抱く
「貴様は頑張り過ぎた背負いすぎていた伝わった…わらわにそれが全て」
「ッ…お前にオライの何がわか…!!!」
押しのけた吉祥の顔を阿修羅が見てそして怒鳴りかけていた言葉をとめた
緑色の瞳から流れ出る雫
「貴様は…ただ守りたくてただがむしゃらにただ…生きていただけ…今も…貴様はがむしゃらで…わらわはそれが愛しい…」
「吉祥…鼻水」
女らしく顔を覆って泣くでもなく更には鼻から鼻水まで流しながらもまっすぐ阿修羅を見て流れる涙に阿修羅はただ戸惑っていた
シャラっと鈴が鳴って吉祥が涙と鼻水を同時に拭うと竜がため息を吐いた
「…少しは俺のことも考えてくれよな吉祥様」
ヤレヤレと両手を挙げ眉を下げた竜が二人に背を向けたかと思うと片手で何かを宙に書き始める
「そして自分の立場も…お前がしていることは…しようとしていることは…」
「わかってます…でもわらわはわらわとして生きたい」
二人の交わす会話の内容がさっぱりつかめない阿修羅はただ二人を交互に見つつ自分に投げかけられる言葉を待っていた
「できればわらわが変えたいんです…【吉祥】を…そうしたらきっと【時】だって…」
書き終えたのか竜が振り返る
その竜の背にはおそらく何かの術になるのであろう印が光り浮かんでいた
「…阿修羅…」
ようやく名前を呼ばれた阿修羅がハッとして竜を見る
「…また会おう」
竜がそう言ったと同時に印が輝きを増し目が開けていられないほどの眩しさになったそして…
阿修羅が目を開けたときソコに竜の姿はなく代わりにはじめて吉祥とあったときにみたあの扉があった