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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その3】

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 部屋に入ってきた大男は、2メートルは軽く超えているだろう。茶色の軍服の襟章には赤い石が光る。
 大男は少年の足枷の鍵を開ける。少年はそれを冷たく見下ろす。

「何ぼーっと突っ立ってんだ!早く準備しろと言ってるだろう!」
 少年の足枷を外し、立ち上がった大男は少年を殴り飛ばす。その勢いで少年は近くにあった家具に打ち付けられる。
 少年は血が垂れた口を袖で拭く。そして顔を上げ、大男を睨んだ。

「何だその目は!」
 大男は少年の胸倉を掴み、高く持ち上げる。

「いいんですか?そんなことして」
 少年は大男を見下ろし、冷たく言い放つ。体からはダークグリーンの光が僅かに放出される。
「ちっ!めんどくせぇ小僧だな!」
 そう言って大男は少年を床に叩き落す。
「[対狼一族専属特殊兵器]だかなんだか知らねぇけど、お前だけ特別扱いされていい気になってんじゃねぇぞ!!」
 大男は逃げるように部屋を出て行った。

「フン…特別扱いって……[特別]違いだろ」
 少年は小さく呟き、鉄格子の張られた小さな窓を見上げる。そこには白い満月が浮かぶ。


 それから少年は、ドア近くの壁に何着も掛けられた黒い軍服のうちの一着を羽織り、部屋を出る。そして鉄格子で囲まれた廊下を颯爽(さっそう)と歩く。
 真っ黒な軍服の詰襟にはシルバーの襟章。その中央にはダークグリーンの丸い石が光っている。軍服の腰から下は切り替えしになっており、黒に近いダークグリーンの布地が膝辺りまで広がる。