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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その3】

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───その晩、夢を見た。

 そこは白い世界だった。氷の世界。全てが白く冷たく静かに輝いていた。
その中央には大きな大きな木があった。世界樹と呼ばれる木だろうか。大きな太い幹、てっぺんは空よりも遥か上の方にあるんじゃないかと思えるほど。その大きな木から伸びる枝の先はどこまでも遠く、空一面を覆うほどたくさんの緑の葉を付けていた。その隙間から差し込む光がまた、その氷の世界をキラキラと輝かせた。

 木の根元には泉が湧き出ていた。泉は空に生える緑の葉を映し出し、白い氷の世界の光を反射し、そこに住まうものたちを癒していた。
 その泉に伸びる世界樹の根元の1本には、白く透き通るたくさんの白い蛇がいた。まるで大木の根に生命の泉の水を与えているかのようだった。

 その澄んだ泉の中を覗くと、1体の大きな白い蛇がいた。おそらく顔だけでも私の背より大きいだろう巨大な蛇。
 その大蛇は泉からゆっくりと出てきた。水面から出ると同時に、長い体の色を白から黒へと変えた。額から背中へ、背中から尻尾へ、徐々に漆黒の毛が湧き出るように伸びてくる。
 気付けば四足出ていた。その背中からは黒い羽根に覆われた大きな翼が伸び、優雅に羽ばたいて空へ向かう。
 黒い有翼龍だ。見れば大木の緑の葉が鱗に反射し、キラキラとダークグリーンに輝く。

 これがニズホッグ………


 そして場面は変わる。

 整えられた暗い室内。高級感のある家具やベッドが並ぶ。そこには十歳にも満たないほどの一人の少年がいた。重い足枷を付けて。
 ウェーブのかかった黒髪を、襟足で小さく結んでいるその少年は、届かない位置にある窓を見上げる。頑丈に張られた鉄格子。外からはたくさんの笑い声や、祭りの音が聞こえてくる。
 少年は険しい顔をした。

 すると誰かが激しくドアをノックする。
「おい!急いで準備しろ!東の門が危ない!」