~双晶麗月~ 【その3】
「じゃあ……オマエは何……?また別の何かの[探知機]なんじゃないの?」
「何を……!」
動揺したミシェルの淡いグレーの瞳が、徐々に濃いブルーに変わる。
「あんなに簡単にフィルを殺せるわけだし、オマエだって誰かの差し金なんだろ?」
「そうじゃない!僕は……!」
「だいたいさ、ニズホッグって死者の血をすするんだろ?オマエ……ホントはニズホッグでさ……、すすってるんじゃないのか?血を……」
「咲夜!」
「いいんだよ、別に……今さらもう何も気にしないよ……。好きにすりゃいいだろ?」
私は次から次へと口から出る言葉を止めることもできないまま、ベッドで大の字に寝そべった。
「ほら!煮るなり焼くなり喰らうなり、好きにしろよ!ほらっ!」
返事をしないミシェルは、立ち膝のままうつむき、肩が震えているようだった。
ベッドに置かれた両手は、固く握りしめられていた。
しばらくしてミシェルは無言で部屋を出て行った。
作品名:~双晶麗月~ 【その3】 作家名:野琴 海生奈