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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その3】

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「あなたがフィルに護られているように感じたのは、おそらく狼一族以外のものから護っていただけでしょう。例えば僕のようなものから……ね。いつでも傷一つない状態でフェンリル一族にあなたを引き渡せるよう」
「フェンリル一族に引き渡すって……」
「あなたの肩の痣、フィルの胸にもあるということ、気付いていましたか?」
「え……?」
 私は痣のある右肩に目をやった。


「やはり……気付いてなかったみたいですね。その痣はフィルグスの封印です」
「フィルグスの封印……?前に私の腕が白い翼になったのも、それがあるから……?」
「……そうですね……あの時は……白い翼にすることによって[色々]放出していた……とでもいいましょうか……」
 ミシェルは煮え切らない返事をする。

「[色々]って何なんだよ。もっと分かるように説明しろよ」
「痛んでいた腕を翼にしたことで、腕の痛みが消えたでしょう?あれは……[中にあるあなた]の感情を放出させたからなんです」
「[中にあるあなた]の感情……?」
「はい。そしてその封印によって、元々あった能力を抑制されています」
「元々あった能力って……?」
「咲夜、あなたの能力のほとんどは、フィルグスの封印のためにまだ表に出ていません。訓練すれば少しくらいは能力を戻すことができるかもしれませんけど……その前にその封印を僕は解くつもりです。なのでその必要もないでしょう」

「じゃあフィルは……あの時なんであんな残酷な消され方しなきゃなんなかったんだ!」