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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その3】

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 コポコポという音と共に目が覚めると、そこは冷たい水の中だった。
 なぜか息が出来る。だが、薄暗くて周りがよく見えない。伸ばしている両手は壁に当たっていて相当狭い。所々にある隙間からはほんの僅かだが光が射している。
 その僅かな光が照らしているのは、岩の壁?

 ここはどこなんだ……

 横になっていた体を起こすと、足元でジャラリと音がした。薄暗さでよく見えないが、鎖らしいものがあるということはわかる。そっとその鎖を掴もうとした時、再びジャラリと音がする。
「なっ…!なんだよこれ!」
 私の両手は長い鎖に繋がれていた。
 私は慌てて立ち上がり、岩の隙間から外を見た。そこは見覚えのある場所。

「あっ…!」
 そこでやっと私は、先ほどの出来事を思い出した。ここは間違いなく彼女が閉じ込められていた場所。だが、すでに彼女の姿はここにはない。
 私は急いでその岩場の内部を見渡したが、出口が見つからない。どうすることもできない私は、しばらく立ち尽くしていた。


 冷たい水、狭くて暗くて、よく見ると岩の壁の隙間には苔がたくさん生えていて、触るとぬるぬるしている。足元も硬くて冷たい岩ばかり。天井は手の届く所にはなく、どの位の高さにあるのかは、暗くてよく見えない。
「こんな場所に……彼女はずっといたんだ……」

 私は彼女のことを考えた。
「彼女はいつからここにいたんだろう……。そういえば……」

 私は僅かに光が入り込んでいる場所へ行き、自分の右肩にあるフィルグスの封印を見た。その瞬間、衝撃が走る。
「ない!なんで?」
 封印が消えている。跡形もなく。私は慌てて、左肩も見た。何もついてない。
「そういえばあの白い悪魔……[両腕]が白い翼だった……」
 私は一瞬にして血の気がひいた。