小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

~双晶麗月~ 【その3】

INDEX|16ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

 まだ朝なのに空は暗い。これは雨雲のせい。
 大通りを通る車のライトが、もたれたガードレールの隙間から私の背中に当たる。傘をささない私は、隠れるようにガードレールの影に座る。そこから海に向けて、すぐに坂になっているので、私は坂の草が濡れているのもお構いなしに足を伸ばした。坂の草が冷たく私の足を濡らす。
 坂を下りた所には砂丘があり、いつもより荒い波が押し寄せている。

 この海の底には……もしかしてあの白い腕の彼女がいるのだろうか……
 それともどこか別の海底……?
『助けて』と言った彼女の声が、今でも耳を澄ますと聞こえてくるような気がする。
 彼女の悲しさと苦しさが私へと流れてくる。

 私は雨の降る海を見つめ、静かに泣いていた。
 これは彼女の感情なのか、それとも私自身の感情なのか……
 胸が……苦しいよ……
  

 気が付けば雨はやみ、薄日が射していた。時間はもう昼を過ぎてるだろうか……
 海に映る微かな光は、私を穏やかな気持ちにさせてくれた。

 私は今朝のメモを持ってきていたことに気付き、取り出した。
「結界の張り方……か……」
 少し湿ってしまったそのメモを見ながら、決心を固めた。私はもう一度強くなると……

 私はそのメモ通りに色々試してみた。でも何度やっても上手くできない。それでも自分でやれるだけのことをやろう、そう思っていた。