~双晶麗月~ 【その3】
「お前はいつもなんも言わねぇ。お前は……誰よりも強く見せようとしてる。でも、誰よりも弱いこと、オレは知ってる。
いつでもオレはそばにいるから。いつでもオレは、お前を護ってやるから!」
『僕こそあなたを護るためにやってきたのに』
『心配しなくてもいいですよ。ちゃんと私が最後までおそばにいますから』
ミシェルも言っていたな……
私はいつもいつも周りの人たちに護られて……
でもそう思っていたのは私だけで……
フィルも本当は護ってくれていたわけじゃない。
もしかしたらミシェルも……
私は悔しかった。
「ありがとう……本当に……。でも、大丈夫だから。心配かけてごめん……」
私はそのまま雨の中、傘もささずに海の方へ歩いた。
結局その日、私は学校も行かず、冷たい雨の中ずっと海を見ていた。
作品名:~双晶麗月~ 【その3】 作家名:野琴 海生奈