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野琴 海生奈
野琴 海生奈
novelistID. 233
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~双晶麗月~ 【その3】

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「今日はどうしたんだよ、いつもより歩くの早いじゃん。なんかあったのか〜?いつもと同じ時間に出てきたはずなのに、咲夜が遠くに行っちまってるから、驚いたぜ」
「うん、今日紅茶飲んできただけだから早いんだよ」
「あ?食事当番の兄貴、いねぇのかよ」

 私はハッとした。
 昨日のことを、ミシェルのことや私のことを、雄吾に話すわけにはいかない。私でもやっと理解し始めたとこなのに、雄吾が理解できるわけがない。

「……うん、今日は朝早くから出かけたから」
「ふ〜ん、だからそんなにすげぇ落ち込んでんのか?」
「そんなことない別に!落ち込んでるわけじゃねぇよ!腹減っただけ!」
 私はムキになって否定した。

 雄吾に本当のことを話せば……雄吾を巻き込むことになるかもしれない……


「ハハッ!お前らしいなぁ。腹減ってんならこれやろか?」
 そう言って雄吾はポケットから飴を一つ出してくれた。私は立ち止まって、持っていた傘を肩に乗せた。そして雄吾に貰った飴の封を切り、すぐに口に放り込んだ。

 甘いイチゴミルク……私には甘すぎるなぁ……


 私は立ち止まったまま、遠くを見ていた。

 すると突然雄吾が声を高くした。
「お……おい!どうしたんだよ!」
「ん?なにが」

 私は顔を上げ、隣にいた雄吾の顔を見た。なぜか滲んでよく見えない。
 確かに空は暗いけど……こんなに雨降ってたっけ?