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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(中編)

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ハァ……ハァ……。
 あの長い坂を登りきり、ネオは実緒の家へと辿り着いた。
 学校から走ってきたおかげで、あらゆるものが汗で冷たく染み渡っている。
 ネオは家の前に自転車を置き、すぐさま玄関前にあるインターホンを鳴らす。
 全ては自分の想いを、「あんなゴミとは違う!」ということを伝えるために。いつでも実緒の味方だと伝えるために。偽善者なんかではなく、いつも心から親友のことを想っていることを。バカにしたことはこれっぽっちもないことを。
 親友の手をとって、暗い暗い闇の海から引っ張り出したい。
 そんな気持ちがネオを急かせた。
 何度も何度もインターホンを鳴らす。実緒が出てくるまで。
 すると、中から足音が聞こえてきた。
 そして、
 ガチャ!
 扉の向こうから、縦縞模様の緑色のパジャマを着た実緒が、恐る恐る顔を出した。その姿は、『恐怖』という塊が、ウイルスのように全身を蝕んでいるみたいだ。
「実緒っ!」
 実緒という存在を確認できて、ネオの表情は明るくなる。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ