moonlight(中編)
「あんたのせいで……、」
溢れる涙でくしゃくしゃになった表情で、武藤を見つめ、
「アンタのその腐った神経が、実緒の心をむちゃくちゃにしたんだよ!!」
押し隠した怒りを言葉に変え、ネオは猛スピードで廊下を走った。
実緒、実緒!
なんで気づいてやれなかったんだろう。なんで力になれなかったんだろう。後悔の念が次々と、頭の中で渦を巻く。
とめどなく流れる涙が後悔の塊として、次々と宙に浮かぶ。
「ネオ!」
先生から事情を聞いて、追いかけていた未知流の存在にも気づかず、ネオは階段を駆け下り、下駄箱で革靴に速攻で履き替え、校舎まで続く長い坂を下って駐輪場へ向かい、自転車の鍵を外し、駅の方角へと向かう学生が「うわぁ……」と呻らせるほどの光の速さで、実緒の家へと向かった。
晴天だった空模様は、彼女の気持ちを反映しているのか、怪しくなっていった。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ