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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(中編)

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 その中でぼんやりとあの『悪夢』を思い出す。
 彼女に痛めつけられた恐怖や悲しみが入り混じり、
「お兄ちゃん……わたし、わたし……」
 自然とポタポタと涙が溢れる。
「いいんだ……もう、終わったんだ。よく耐えたな」
 兄も自然と、キュッと強くネオを抱きしめる。
「うん……わたし、わた、し……、」
 ネオは兄の胸に顔をぶつけて、
「うわああああああっ!!」
 ネオはぐちゃぐちゃになった親友への思いを、泣き叫んだ。



 この事件の後、毎日家で暗い顔を浮かべて、寝る時には泣いていたネオを心配して、後をついて行ったということを兄から聞いた。親友と教室で言い争いをしているところで、すぐさま職員室にいる先生を呼んで、助けてくれたのだ。ネオが気を失った直後、親友は悪友二人と警察に連行された。
 そして翌日、この事件は学校で話題になり、親友は少年院へと収容されたことをネオは先生から聞いた。その原因を作った親友の両親は、麻倉家には謝罪の言葉も何も言わずに姿を消した。
 ――この出来事をネオは高校生になった今も、未だに自分への戒めとしている。
 確かに彼女は悪いことを犯した。だけど、彼女の気持ちを汲み取ることはどこかでできたはずだ。それが分かるのは、ずっと一緒にいる自分だけ。もしそれができていたら、変わったかもしれない。なぜ、気づくことができなかったのか。そんなことで親友を失ったのが悔しくてたまらなかった。
 ――それを再び起こしてはいけない!
 ネオは、静寂と化した教室の中で唯一学生たちがガヤガヤとしている――美術部が活動している美術教室へと辿りつく。
 ネオはためらいもなく、
 バン!!
 と教室のドアを開いた。
 その力強い音が、美術室にいた部員全員を黙らせた。キャンバスに向かって色を塗る作業も中断する。「あんた誰?」と言っているような視線が、ネオを完全アウェイな状況にさせた。
 上等じゃない! ネオは孤立状態に動じず、険悪な顔つきで堂々と中へと入っていく。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ