moonlight(中編)
「くらえ!」
二人はネオに殴りかかる。
「くぅっ!」
ネオは双方から一発ずつ悪友たちに殴られ、よろめく。
「な、なによ……自分はただの傍観者じゃない。ホントにひきょ……ううっ!」
悪友にみぞおちを喰らい、膝をつく。
「ははは、やっちゃえ!」
悪友に殴られ、あおむけに倒れてしまう。
そのまま殴られ続けられるが、ネオは一切抵抗しなかった。そんな彼女の内心に気づけなかった、自分への罰として。
一体、何があったのだろう。なんで、そこまで傷ついたのだろう。
意識が遠のく中、そればかりが頭に過った。
ごめん。本当にごめん。
親友の気持ちに気づけないなんて、最低だね……。
あんたの言う通り、独りよがりだ……。
いっそこのまま、消えてしまっても……。
その時。
「ネオ!」
「おまえたち! 何をしている!?」
「「「!」」」
三人はにビクッとし、振り向いて廊下に立っている二人を見つめる。
「あに、き……? せん、せい……」
弱々しく掠れた声で、助けに来た二人を呼ぶ。ネオはそこで意識が途絶えた――
「ん……」
「ネオ!」
二歳年上の兄の顔が、目に映る。
「あにき……」
弱々しい声を発しながら、見つめる。
窓から差し込んでくる夕日が眩しい。
「良かった、無事で!」
ネオの兄は学校の保健室にある白いベッドの上で、顔が腫れている妹を優しく抱きしめた。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ