小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

moonlight(中編)

INDEX|16ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

 とにかく、煮え切らない気持ちでいっぱいなのだ。
 「誰にだって、言えない事はある」という未知流の言葉も理解できる。でも、吐き出すことでスッキリすることだってあるはずなのだ。
 ――本当に黙って見守るべきなのか。
「ネオ、心配し過ぎだよ」
 ネオは右肩を優しく叩く未知流を見つめる。
「そんな風に考えることは良い事だけど、言いたくない事まで踏み込んで、『話してよ!』と押し付けたら、竹下さんに嫌われるよ」
 『嫌われる』という言葉にネオは、ビクッ! と背筋に電撃が走る。
「そ、そう?」
「そう! 近づ離れずの距離で語り合うのが一番! ずんずん前に出たら、逆に言えなくなるわよ。友達付き合いも駆け引きが重要だよ。時が来れば、そのうちあっちから悩みをぶつけてくるわよ」
「そう言われると、確かに……」
 説得力のある未知流の言い回しに、納得してしまう。
「よし! 分かったんなら堅苦しい話はもうおしまい! 活動開始から五〇分も経過して、日も落ちちゃったよ。誰かさんのせいで」
 くるっと反転し、未知流は定位置にあるエレキギターのケースを開く。
 嫌味っぽく未知流に言われて、
「うっ……悪かったよ……」
 そこは責任を感じたのか、ネオは素直に謝る。
「絢都もター坊も、準備をする!」
 二人も未知流の指示に「うっス!」、「はい!」といい、自分の定位置で準備を始める。
「今日は、総合祭で歌う楽曲の音合わせをするんだから、本番だと思ってやるように! 特にネオ!」
 ビシッと、バスカーズの黒いエレキギターをストラップで吊るして左肩にのせた状態で、右手の人差し指で、ネオの顔を差す。
「え? わたし!?」
 思わず右手の人差し指を自分に差す。
 いやいやわたし、準備OKなんですけど。
「そう! 竹下さんの事を考えるのはいいけど、リーダーらしくきっちりやってよ……あんたが元気じゃないと、ウチらはなーんにもできないんだから!」
 ああ、そういうことか。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ