moonlight(中編)
そんな彼にネオはすかさず後頭部を、
パッコ――――――ン!
「いって――――――ぇ!!」
未知流レベルではないが、脳を抉られるようなゲンコツを喰らい、絢都は頭を抱える。
「まったく!」
フン! とネオは鼻息を鳴らす。
はぁ~、と未知流が息を漏らし、しゃがみこんだ絢都の頭をなでる。
そんな彼をスルーするように、
「本当にすごいですよ、ネオさん」
巧が話に入ってくる。
「そう?」
「は、はい。俺には、こんなこと、とても……」
首を傾けて話す彼女に思わずドキッ! としたのか、巧は思わず床を見てしまう。
「う~ん。当然のことをしただけなんだけどなぁ~」
三人に「すごい」と言われたことに、ネオは微苦笑して見せる。
「それができるから、すごいんだよ。普通ならそういうことはなかなかできないよ」
未知流が立ち上がる。
「それにしてもこの子、いや、竹下さんにこんな特技があるとはね。美術家とか、何かを目指しているの?」
「うん。彼女、漫画家になりたいの」
「なるほどね。どうりで美術の教科書みたいな、古臭い絵じゃないってわけね」
もう一度見せて、とネオに頼み、ネオの自画像をまじまじと見つめる。
「で、わたしの勝手でお願いしたんだけど……この同好会をアピールするための、ポスターを描いてくれているんだ」
ネオは、『内容を省いた部分』を明かす。
「ええっ!?」
マジっスか! と痛みから復帰した絢都がサッ! と立ち上がる。
「それって、俺ら全員が入っている?」
「当然でしょ。わたしが特徴を教えたら、もうそっくりに描いてくれて」
「そ……そっくり……」
現実の自分をリアルに描いているのではと考え、絶句する巧。
「……タックン、何もそこまでリアルじゃないわよ。FFじゃあるまいし。ていうか第一、CGで描かないわよ」
巧の考えていることを見透かすようなツッコミを入れる。
「漫画やアニメにでてくるようなキャラになっているよ。あとはカラーを塗るだけだから、期待しててね」
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ