moonlight(中編)
勝手に宣戦布告するネオに、動揺する。
「なによー、嫌?」
むー、と実緒の顔を覗く。
実緒は顔を横に振ってみせる。
「う、ううん……イヤじゃないよ。ただ……」
「ただ?」
「私のことを……こんなにも大切に想う友達が……」
顔を伏せて、表情を隠す。涙が一滴こぼれる。
大人しい性格だからなのか、今まで共に喜怒哀楽を分かち合える本当の『友達』と呼べる存在がいなかったのだろう。ネオに出会うまでは。
それが涙として、集約された。悲しいのではく、嬉しいのだ。
「ちょっ、ちょっと、実緒!」
泣いている実緒に慌てふためく。
「わ、わたし、な、何か傷つけるようなことを言った!?」
「ううん。違うの。嬉しくて……」
大粒の涙がポタポタと白のカーゴパンツを滲ませる。
「もう、可愛い顔が台無しになっちゃうよ」
ネオは微笑みながら、ポケットにある水色のハンカチを取り出し、実緒の涙をやさしく拭いた。
――一人じゃないよ。
――そしてネオは、新たにできた親友のこと――駅前にあるデパートで買い物したり、夢を語り合ったことや、お互いに悩みなどを打ち明けたりしたことを三人に話した。少し内容を省きながら。
「へぇ~、やるじゃない」
と未知流が感心する。
「やっぱりあんたはすごいよ」
「単に先輩のことをおせっかいだと思ってるかもしれないっスけどね~」
未知流の褒め言葉の裏の気持ちを言っているかのように、絢都が悪戯っぽい笑みを浮かべて茶化す。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ