moonlight(中編)
ネオがウインクしている姿を実緒は見つめる。
「道が違っても、夢に向かう情熱は……絶対に同じだわ! みんながみんな、夢が違うのは当然の事。だけど、『叶える』というゴールへの道は、夢を持っている人すべての、共通の『ゴール』だわ! わたしも実緒もその途中にいる。だから、一緒に行こうよ! そのゴールへ! お互い悩みとか、打ち明けながら、協力して目指していこうよ、ね!」
「ネオちゃん……」
首を少し傾けながら笑う彼女が、実緒には救いの手を差し伸べる天使のように見えた。
少し楽になった気がした。
「だ・か・ら! 見せて!」
「へ!?」
鼻がくっつきそうなくらいの距離を取るネオ。
「絵よ! 約束したでしょ!! わたしが見せたんだから、あんたも早く見せてよ!」
「は、はいっ!」
ネオの狂気にビビったのか、慌てて机の上にあるノートを取る。
そして、ガバッ! とページをめくる。
「あ、あった!」
そのページを実緒に見せる。
「わぁ~……」
感嘆の声が漏らしながら、手に取った実緒のノートを見つめる。
「ど、どう……」
実緒は顔を赤くし、もじもじしながら身体を左右に揺らす。
「すごい……すごいよ! わたしたちらしいよ!」
「ホントに?」
「うん!」
頷きながら、お腹いっぱいの表情をみせる。
ネオが見ているそれは、女二人と男二人がバンドを組んで歌と曲をかき鳴らしている姿だった。
センターでマイクスタンド持って叫んでいる、髪のポニーテールを半袖カッターシャツと黒とギザギザな黄色い横縞模様のミニスカート。白のソックスに赤いコンバースのスニーカー。
彼女の右上にいるのは、センターにいる女子と同じ服装だが、漆黒のストレートパーマを揺らして、エレキギターを響かせている。
左上は前髪を左右に分けた半袖カッターシャツと黒のズボンを穿いた、クールでイケメン顔の男性が、淡々とエレキベースを弾いている。
そして最後に、ギターとベースの二人の間に入るように、ドラムセットを前に、スティックを持ってウインクしながらキラン! と白い歯を輝かせている、ナルシストな白いバンダナの男性がいる。
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ