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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(中編)

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 ネオの言っている事を不思議に思うが、最後まで聞くと、
「ほんとだ。ナルシストだね」
 とネオの説明に実緒も納得した。曲の最後に「これで君も、俺の魂(ハート)にロックオン!」と某ナルシスト芸人風に締めくくっていたのだから。実緒だけでなく、聴いた誰もが思うはずだ。
「でもすごいね~、プロのアーティストみたい」
 ネオの――moment'sのCDに、実緒は大満足の表情を浮かべる。
「そ、そう?」
「うん、すごいよ。ネオちゃんがこんなに歌が上手だなんて、びっくりしちゃった。歌詞や曲の激しさによって、こんなに表現できる人ってあまりいないよ! カラオケとかで練習しているの?」
「うん。あんまり人には言わないけど、週三回はカラオケショップで歌っているし、ボイストレ―ニングの本も買って、わたしなりに努力はしているよ」
 そんな彼女の一面を見て、
「すごいなぁ……こんなに努力しているなんて……私なんか全然だよ」
「いやいや、実緒と比べたら全然……」
「本当だよ! 真っ直ぐで、必死に夢に向かって……ネオちゃんが羨ましいよ」
 ネオのすごさを見せつけられて、実緒はがっくりと肩を落とす。
「私なんか、いつも不安に押しつぶされっぱなしだもん。部員のメンバーにもバカにされるし。だから、そんなネオちゃんが、羨ましいよ……」
 実緒は、視界をネオの顔から外す。道に迷っているみたいに。
「あ、あのねえ、実緒……」
 悄然としている彼女の肩を叩く。
「そんな些細なこと、ほっときゃあいいのよ! わたしもそうしているよ」
 実緒は、ネオのまっすぐな表情を見つめる。
「自分の好きなことなんでしょ? だったら前を向いて、とことんまで足掻いて、自分が納得できるところまでやらないと!」
「自分が、納得できるまで……?」
「そうよ! バカにされたっていいのよ! そういうコンテスト? に何回も堂々と参加すりゃあいいのよ! 大切なのは夢を諦めないこと! その意志があり続ける限り、奇跡は起きるわ! そこでどんな道を辿ったとしても、最後には夢が叶う! わたしは、そう、信じる」
「ネオちゃん……でも……」
 胸が苦しい表情で俯く実緒。
「大丈夫! わたしがついているから! ね!」
「え!?」
作品名:moonlight(中編) 作家名:永山あゆむ