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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(前編)

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 ゆっくり寝とこ……、とネオが思ったその時。
「……」
 たまたま、廊下側の前から二番目に座っている女子生徒に目が付いた。
 小柄で、ネオとは対照的に校則を守った服装で、髪は肩にかかるくらいでふわふわしており、清楚なお嬢様のように見える。
――確か名前は、ええと、なんだったっけ?
 悲しいことに、ネオの記憶にすら出てこない女子学生は、何らかの作業をやっているみたいだった。
 ネオは彼女が何に夢中になっているのかが気になり、彼女の左隣の席から覗いてみる。
女子学生の机の上には、A4サイズの用紙。左手には鉛筆を握っている。
 ――何かを描いて……いる?
 ネオの存在に気づく素振りは全く感じられない。さらに、話しかけられる雰囲気でもない。まさに、一意専心状態とでも言うべきか。
女子学生の作業をしばらく観察する。
 しかし、5分足らずで、
「う~っ!」
 と低い声で呻く。
 チーターのように獲物の様子をじ~っと伺うような状況に我慢できなくなり、己の好奇心の赴くままに彼女の席へと歩み寄る。
 そして、
「ねぇ」
 女子学生に声をかけてみる。
 しかし、
「……」
 無言。
 本気で「あの状態」のようだ。
 ムッキーッ!!
 ネオはやけになって、人を寄せつけぬほど夢中になっている女子学生の耳元に近づく。
 そして、
「わあぁぁぁ――――――っっっ!!!!」
 ライブの時と同じくらいの、張りのある大声を叫ぶ。
「うわぁあああっ!?」
 女子学生の耳が、ネオの罵声を左から右へと貫通し、あまりの大声にびっくりして、首から頭にかけて電撃が走り、震える。
作品名:moonlight(前編) 作家名:永山あゆむ