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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(前編)

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第一章

 
  七月。夏休み前。
 セミの鳴き声で、余計に暑苦しく感じるこの季節。
 「はぁ~」とため息を漏らしながら、ネオは二階の職員校舎と学生校舎をつなぐ廊下を歩いていた。
「な~んで、ウチの高校は校則がこんな厳しいのよ~」
 はぁ~、と再びため息が漏れる。
 昨日、期末試験の全科目が終わった次の時間に学年集会があり、その時に服装検査が実施された。いつもの服装――夏服用の半袖カッターを私服のようにだら~っとスカートの上に重ねて、灰色のスカートは膝よりも上(ミニスカ状態)。よくテレビで見る、都会に住んでいる女子校生と同じような服装だ。
 しかし現実は、ニュースでよく見る映像のように甘くはなく、岩国総合高校の校則規定(どの公立、私立高校も同じだと思うが)による服装は、シャツはスカートの中に入れ、そのスカートの丈は、膝よりも下でなくてはならない。
 その校則に基づく検査で、ネオは担任の先生(女性)に、「なんでそんなにだらしない格好をしているのよ!」と、これが当然! と思っているネオは鬼のような形相できつ~く言われ、再検査を昼休みに受けることになったのだ。ちなみに、彼女と同じ格好している未知流の方はというと、事前に服装を正し、免れていた。
 しぶしぶと校則通りの服装に直し、そのファッションを見せる開場――職員校舎三階にある視聴覚室で、先生にきちんとした姿を見てもらった……までは良かったのだが、検査終了後、すぐに廊下で元のスタイルに戻ったところを先生に見られて、再び注意をきつ~く受けてしまった。
 その結果、ぶつぶつ一人で文句を言うほどナイーブな状態になっているのである。アニメのように額の左側に、頭から目のあたりまで直線が三本と青白さが、どことなくうっすらと見える。
 そんなテンションのまま、ネオは自分の教室である、二年一組の教室へと戻っていった。
 いつもなら選択授業など多目的に使われる選択教室で、未知流やクラスの友人たちと共に、歌って、踊って、バカ騒ぎをしているのだが、さすがにこのテンションだと、雰囲気を悪くしてしまうと思ったので、静かに席に座って伏せておこうと、頭から両肩まで重くのしかかる疲れを解放しようと思ったのだ。
 教室は、学生が色々な場所で話したり、遊んだり、男女がデートのような雰囲気になっていたりするような賑やかな雰囲気ではなく、女子学生が数人いるだけで、わりと静かだ。
作品名:moonlight(前編) 作家名:永山あゆむ