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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(前編)

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「うるせえ! どんなにちっさい理由があってもなぁ、連絡ぐらいよこせっつーの!」
「電話しようとしたわよ! だけど、充電が切れているのにまったく気づかなくて! だから、だからね、元のみっちぃに戻って冷静にわたしの話を……」
「問答無用!!」
「きゃあ――――――っ!!」

 バチ―――――――ン!!!!!

 たまりにたまったストレスを開放したその音は、部屋全体に響いた。
 健斗は思った――長里みちるに何かあったら、すぐに謝ろう、と。



「――それじゃあ、四人揃っての初めての活動ということで、今日はミーティングをしまーす」
 苦笑を浮かべて腫れた右頬を抑えながら、ネオが活動の始まりを告げた。
「う、うっス」
 彼女の目の前に座っている健斗は、その形相に苦笑する。逆に彼の隣にいる巧は、「……はい」とロボットのように表情を一つも変えない。
「で、どんなことをやるんだよ、ネオ」
 モードチェンジしたみちるが何事もなかったかのように訊ねる。先ほどまでキレていた面影はどこにもない。
「うーんとね、うーんと……えへへ、なにがしたかったんだっけ?」
「あ、あ、あんたねぇ……」
 ネオのとぼけ発言に、みちるの拳が唸る。
「じょ、冗談だってば!」
「まったく、真面目にやりなさいよ」
 どうやら部活の真の指揮者はみちるのようだ。部長であるネオですら、頭が上がらない。
 彼女はコホン、と軽く咳払いして仕切り直す。
「さて! 今日が新入生含めた初めての活動ということで、まずは今年の活動方針について発表するわね。今年の『軽音楽同好会』は一年生が無事に加入したので、新たなステップとして、この四名でバンド活動をしたいと思います! 先生や演劇部などへの交渉は今からだけど、学校でのお昼の時間、そして放課後にはミニライブを定期的にやろうと考えています。そして、岩国でのアマチュアのライブフェスにももちろん参加します!」
 おおっ! と部長の活動方針の発表に、
「いいねぇー、腕が鳴るよ」
「燃えるっスね」
作品名:moonlight(前編) 作家名:永山あゆむ