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「とりあえず俺ら、もう帰るし」
「えーちょっと待ってよーまだ自己紹介の途中だし!保志乃くん、何て名前?あ、こいつはねー鈴本 亜希(すずもと あき)って言うんだよー」
「え、あ、どうも……。えっと、俺は三弥……」
「ミヤちゃんかー!いいね、可愛い名前だ!ねーねーミヤちゃんも今からカラオケ行かない?」
「え……?」
三弥はびっくりした。
俺を誘ってくれているのか……?な、なんてこと!どうしよう世紀末でも来たのだろうか!あ、でも俺がいるせいで場が盛り下がってしまうかも……でもせっかく誘ってくれているのに断るとかも……。
「あ、俺……」
「行かない。今日は俺も保志乃も帰るんだよ」
口を開いた三弥をまた遮るように、廉冶がニッコリとしながら答えた。
「うっわーレンジ、目、怖いんだけど!」
「うん、何その威圧感」
「はぁ?訳分からん事言うな。じゃーな!」
廉冶はそう言って口を開いたままの状態の三弥の肩を持ち、そのまま踵を返して歩き出した。
「仕方ないなー!またな、レンジ。じゃーねー、ミヤちゃんも!」
そんな有紀の声を背後に聞きながら、三弥は「え?え?」となりながら肩を抱かれつつ廉冶について行くしかなかった。
「ねーアキ。レンジのあの顔!」
「だね。まさに俺のおもちゃを取るな!って感じ?」
「だよね!でもあのレンジが何かに執着するとか、珍しいよね!これはお母さんに報告かな!」
「……だれがお母さんだ。」
「「あ、リク、いたの?いつから」」
「たった今、な。」
リクと呼ばれた、廉冶の彼女である琴菜の双子の兄、陸斗は、呆れたように2人を見ていた。