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02.変わりゆく日常


「今日もやっぱり何も変わらない一日だった……。なあ、金魚……。俺……何がいけないんだと思う……?」

三弥は放課後、誰もいない教室の後ろでなぜか飼われている、水槽で泳いでいる金魚に話かけた。
椅子にすわり、棚に腕を乗せ、そこに顎を乗せた状態でジッと金魚を見ながらため息をつく。
友達、欲しいな……そう思いながら。
だがそんな様子をたまたまクラスの数人は見ていた。
彼女らはそこを何気に通りかかり、そのまま通り過ぎようとして、ジッと椅子に座りこみ金魚を見つめる三弥に気付き、ソッと見守った後で教室から離れる。

「金魚、好きなんだね……保志乃くん……あんなにクールでカッコイイのに可愛すぎる!」

そんな事を言いながら女子が廉冶の近くをキャアキャアと歩き去っていく。廉冶は思わず口元を押さえた。そしてそっと教室に近づくと案の定、三弥が水槽に齧りつかんばかりの勢いでジッと金魚を見つめていた。
堪えろ、俺!
廉冶は口を抑え、体を震わせながらその様子を見ていた。
あいつ……また金魚に話しかけてやがんな……?そう思いながら激しく活動しようとする横隔膜を必死に押さえつけ、2つある内の1つの携帯を取り出した。そしておもむろにメールを打ち込み、今はまだ送信せずにズボンのポケットに入れる。そして教室に入って行った。

「よお、保志乃。何してんだ?」
「あ、斉藤。えっと、い、いや、別に……」
「ふーん。まあいいけど。なんもないなら帰ろうぜ」
「え?えっと、ほ、方坂さんは?」

三弥は動揺しながら廉冶の彼女の名前を出した。方坂 琴菜(ほうさか ことな)という名前の彼女の事はあまり知らないが、クラスメイトで廉冶の友達の方坂 陸斗(ほうさか りくと)の双子の妹の方であり、小柄なとても綺麗な子だという噂を聞いた事がある。

「あーコトか。あいつなら今日は友達と遊び行くってさ」
「そ、そうか」
「うん。そう。だから帰ろうぜ」

廉冶はニコリと笑って自分の机から鞄を取り歩き出す。内心、見つかって動揺している三弥の様子にまた笑いを堪えながら。

「あ、ま、待って」

三弥は慌てて自分も鞄を手にして追いかけた。
一緒に……一緒に帰るとか、何それまるで友達じゃないか!!そう密かに嬉しく思いながら。
そうして2人で歩いていると三弥の携帯から着信音が聞こえた。

「おい、携帯。鳴ってるけど?」
「え?お、俺!?」

なぜかやたらと廉冶に勧められ、使うあてもないのにと思いながらも購入した携帯。実際そこに登録されているのはたった3人。
購入を進めてきた廉冶と……あとは父と母だ。
そんな状態だから音を切るといった事もせず、今もまさか自分の携帯が鳴っているとは思いもしなかった。
不思議そうに、だが慌てて携帯をカバンから取り出した。そして見てみるも、鳴ったのは電話の方ではなくメールのようらしい。
父や母がメールしてくるとは思えないが……?
そう思いながら開けてみると全く知らないアドレスからだった。

「……?」
「何?誰から?」
「いや……知らない……」
「何て?」
「えっと……、…………あ、会いたい……?」
「会いたい?」
「……ああ。なんか俺の事知ってて、ずっと会いたいと思ってるって……。……迷惑メール?」

三弥は困ったようにそのメールを見ていた。
横にいた廉冶は何かを堪えるような表情をして、三弥の肩にポン、と手を乗せた。

「まあ、様子を見てみたら?あまり変な内容でしつこく来るようならそうかもな」
「う、うん……。でも……なんで俺のアドレス知ってるんだろ……やっぱ俺の事知ってる人なのだろうか……?」
「っく……」
「ん?」
「ああ、いや……。どうだろうな。にしても……ほんとお前って面白いよな」
「……え?な、なんで?」

困ったようにきょとん、としている三弥の髪を、またくしゃくしゃ、としながら、廉冶は必死になって笑いを堪えていた。

「あ、おーい!レンジ!何何?コトちゃんはー!?」

その時向こうから廉冶を呼ぶ声が聞こえてきた。2人が振りかえると、そこに男子生徒2人が走ってやってきていた。

「コトなら友達と遊び」

廉冶がそっけなく言う。

「あ、そうなんだ。リクは?」
「知らん。俺はリクの母親じゃねえし」
「ていうかどっちかと言えばリクが皆の母親だよね!」

そうして始まった会話に入っていけず、三弥は黙って少し後ろに下がる。
どうしようかな、俺、邪魔なんじゃ……などと思いながら。

「ん?誰ー?」

明るい髪色をして髪の横をピンで交差させながら留めている少し猫目の男子がそんな三弥に気付いて聞いてきた。

「え、あ……」
「俺のおも……友達。お前らに関係ないだろ、ユキ」

口を開きかけた三弥を遮って廉冶が言う。
何か言いかけたのを前の2人はあえてスルーしたらしいが、三弥は気付いておらず、「友達」という言葉がずっと脳内をリフレインしていた。

「レンジの友達なら関係なくないよ!俺、有紀。新井 有紀(あらい ゆき)ってんだー!君はなんていうの?」
「あ、俺知ってるー。保志乃くん、だろ?」
「なんでアキ知ってんだよ?ストーカーか?」
「そんな訳ないでしょ、ユキ。なんかクラスの女子が言ってた気がする」

もう一人の男子がそう言った。こちらは少し赤い色をした髪で、前髪をピンで留めている。目は有紀という子と正反対でタレ目。
だが2人ともとても目立つ容姿をしていた。
そのアキ、と呼ばれた子が言う言葉を聞いて、三弥は俯く。
きっとなんか笑い者かなにかにされてたんだろうなぁ、とそっと溜息をついた。そんな三弥の様子を横目で見ながら廉冶が口を開いた。
作品名:Guidepost 作家名:かなみ