24分の1の恋人
見村オートに挨拶に行ったのはそのすぐ後であった。小百合は少女の家の表札が見村であった事を思い出した。
名刺の交換をすると見村雄一とあった。
代理店契約の話が終わり、返事は電話で頂くことになった。
新しく換えられたコーヒーを飲みながら
「女のお子さんがいらっしゃるでしょうか」
と小百合は見村に尋ねた。
「良く調査されていますね」
「いえ、いえ代理店の話には関係ありません。来る時その女の子を自宅に送ったのですが、名前が舞。表札を見たら見村とあったものですから」
「それは、偶然ですね。娘です。ここに来る途中だったのかもしれません」
「あら、悪い事しちゃった」
「いつもは迎えに行くのですが、その時間があなたとの約束時間でしたので、待っているように言ったのですがね」
「ではこれから迎えに行ってきます」
「いいんです。自分の仕事ですから」
「私はこれで暇になりますし、舞ちゃんに悪い事したみたいだから・・・」