ゴルフは喜劇か悲劇、それともミステリー?
(2) 国境ゴルフ
随分と昔のことだが、アメリカとメキシコの国境でゴルフをした。
フエアウエーの金網のフェンスの向こうはメキシコだ。
そんな国境沿いの真っ直ぐな400ヤードのパー4。
そして、今日一のグッショッ。
真っ直ぐ青空を突き通すように球はぐんぐんと伸び、そして乾燥した堅い大地をコロコロと転がり、250ヤードの飛距離か。
「ドーダ!」と叫びたくなる。
さあて第二打は残り150ヤード。
7番、それとも前から転がして8番くらいの方が安全かも。
なんてなんて考えてる時に、国境の金網フェンスの向こうからガキどもがさっと出て来て、ひょいとフェアウエーど真ん中のボールを持ち去ってしまった。
一体これはどういうこtなんだよ。
文句を付けるにも、ガキはもうメキシコ国内へ逃げ去った。
これには頭に来た。
しかし、なんともならない。
こんな不運でも、プレーは止めるわけには行かず、残り3ホールとなった。
そんな時に、メキシコ人の愛くるしいチコ(少年)がボールを買って欲しいと売りに来た。
そこに確かに盗られてしまったグッショッのボールがある。
コンチキショーと思ったが、
そのチコの瞳が澄んでいて、やっぱり1ドルでそれを買い戻してしまった。
その時、少年は・・・ミ・アミーゴ(僕の友達)と言ってくれた。
それが今でも、なぜかしっかりと耳に残ってる。
ゴルフ教訓
「国境沿いのゴルフ場、ガキには注意しろ!」
作品名:ゴルフは喜劇か悲劇、それともミステリー? 作家名:鮎風 遊