~双晶麗月~ 【その2】
目に入ったグリーンのエプロンは、ミシェルが新調したのだろうか?ミシェルはうちにあるはずのないエプロンをつけていた。
いつの間にかカーテンは開けられており、眩しい光が降り注ぐ。そこからは私の大好きな海が、暑い夏の日差しでキラキラと輝くのが見えた。
そして、乱反射した光の先の布団には、味噌汁が染み込んで………
「ちょ…ちょっと待て〜っ!この布団どうしてくれんだよ〜っ!」
私は慌ててミシェルを引き止める。
「あ、僕食事は作っても、洗濯はしませんよ?女の子の……ですからねぇ?」
ミシェルはニヤリと微笑む。
私は一気に顔が赤くなるのを感じた。
「余計な気遣いすんなっ!」
私は手元にあった枕をミシェルに投げつけた。
バタンという音と共に、ミシェルは素早く部屋を出る。
「下に朝食の準備できてますからね〜」
閉められたドアの向こうで言ったミシェルが、パタパタと階段を下りてゆく。
私は唇を押さえ、今起きた出来事をじっくり考えてみた。
口の中には味噌汁の味。確かに味噌汁は口の中に入ってきた。どうやって?
どこまでが夢で、どこまでがリアルだったのか……考えても思い出せない。
まさか…まさかねぇ…………
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈