~双晶麗月~ 【その2】
〈ジリジリジリジリ……!!〉
私はその音に驚き、ベッドから飛び上がる。
音の発信源は目覚まし時計。7時だ。
「やべっ!」
私は慌てて制服に着替える。
それから出かけるまでずっと、なんとなく恥ずかしくて、ミシェルが何か話しかけてきても無視していた。
そして私は今朝の目覚めのことを思い出さないように、昨日のことを考えた。
あのフェンリルの末裔と言った巨大狼、ニズホッグから変身したミシェル、以前の挑発的ではないあの笑顔、おそらくフィルが消えてからすぐにミシェルが裏工作をしていたであろうここへの転居。
[咲夜……その右腕、痛むか?ふはは!……我らに全てを渡せばその痛みも消えように]
あの巨大狼が言った言葉…狙うのは私の腕…?
とりあえずミシェルが作った和朝食も食べた。どこで覚えてきたんだか。いつもは一人でパン齧(かじ)ってる私には美味しいと思えたが、あえてそれは口に出さなかった。
それより…ミシェルを追い出すことも考えたが…その前に、謎を解くことが優先かもしれないと思った。
作品名:~双晶麗月~ 【その2】 作家名:野琴 海生奈